平屋住宅と価格

注文住宅を新築するにあたっては、それがどの程度の価格で実現できるのかを、あらかじめシミュレーションしておかなければなりません。一般的には坪単価、すなわち工事にかかる金額を延床面積で割って坪当たりの単価を計算したものをもって比較をすることが多いようです。
なかでも最近は平屋住宅に人気があつまっており、たしかに敷地を生かしてフロアを広々と使うことができ、生活の動線もシンプルで使いやすく、老後も階段いらずのバリアフリーでの移動ができるなど、たいへんメリットが大きいといえます。しかし、平屋住宅の場合、同じ注文住宅の新築とはいっても、使用する部材や面積などの関係から、同じ床面積の2階建ての住宅よりも、坪単価が高くなってしまいがちなものといえます。
木造の平屋住宅のプランの最低限では20万円台を提示している施工業者もあるようですが、通常は30万円台から60万円台程度は想定をしておいたほうがよいといえます。注文住宅の場合は標準的な仕様のハウスメーカーの住宅とはまた違いますので、あれもこれもと要求を積み上げてしまうと、すぐに坪単価が跳ね上がって、予算をオーバーしてしまう可能性があるということを、常に頭のなかに入れておいたほうがよいといえます。
こうした平屋住宅の価格をできるだけ削減したい場合には、設計の段階で、ある程度の工夫をしておく必要があります。たとえば、部屋の形状に凹凸があるようなデザインは避けて、できるだけ四角くシンプルなフォルムにするということが挙げられます。四角であれば壁面のパネルなどの面積もそれだけ少なくてすむことから、結果として工事費も割安となってきます。純日本風の平屋住宅では、ときどき中庭、坪庭のようなものを配置したものがみられますが、予算が潤沢にあるのであれば別として、こうした趣向の家屋では必然的に壁の面積は増えることになるため、費用面ではぜいたくな使い方ということになってしまいます。
また、平屋住宅と2階建て住宅の費用を大きく分ける部位のひとつに屋根があります。平屋住宅では一般的には屋根の面積が2階建てよりも増えてしまいますので、その分だけコストがかさむということになります。本格的な日本瓦ではなく、化粧スレートのようなものを屋根材として用いることで、施工期間を短縮し、材料費とともに人件費も節約するといった方法があります。また、積雪のある地域では、片流れの屋根など、施工とその後のメンテナンスがしやすいタイプのものを選ぶといったこともたいせつです。