二世帯住宅で失敗しないためには

注文住宅として二世帯住宅を新築しようとする場合ですが、その手の書籍やインターネット上の投稿などを見ると、かならずしも当初の目論見どおりに円滑にはいかなかったという事例が散見されます。こうした失敗は、新築した注文住宅の構造そのものに問題があったというよりも、むしろ親の世帯と子供の世帯との間で、ライフスタイルやものの考え方をめぐる違いが大きすぎるといった、感情的なトラブルに端を発している場合が多いようです。しかし、世帯間の価値観の違いをカバーしながら快適に生活ができるかどうかというのも、実は注文住宅の間取りの設計にかかわる部分も大きいとみられることから、新築の際には現在および将来のライフスタイルを思い描きながら、適切な選択ができるようにしなければなりません。
二世帯住宅として多くみられる形式としては、住宅の一部の設備を親世帯、子世帯の共用として、寝室などのごくプライベートな空間は、両者が別々とするものです。このようなプランであれば、狭い土地の場合や、新築のための予算に制約がある場合であっても、割とスムーズに実現させることが可能です。特に、キッチン、浴室のような水回り系統については、世帯ごとに別々であると費用がかさむため、共用というのはたいへん効率的な方法であるといえます。ただし、たとえばふだんから顔を合わせなければならないリビングのようなところまで共用としていると、感情的なトラブルがあった際にお互いに逃げ場がなくなってしまうということがありますので、二つの世帯の距離感をあらかじめ推し量りながら検討を加える必要があります。キッチンなどについても、共用が効率的ではあるものの、帰宅が遅いサラリーマンを抱える子世帯では夜間に利用することが頻繁にあるものの、すでに退職後の親世帯では安眠妨害にとられかねないといったこともありますので、ミニキッチンなどのかたちであえて別々に設置するということも考えられます。
究極的な形態としては、たとえば2階は子世帯、1階は親世帯として、玄関からリビング、バス、トイレ、キッチンに至るまで、すべての設備を独立配置して、特に意図しないかぎりは完全にプライバシーが守られる間取りにしてしまうという方法もあります。そのかわりとして、日頃から交流がないため、なんのために二世帯住宅にしたのか目的が不明瞭となってしまいますので、たとえば3階建てにして、中間の階に共用のスペースを設けるといった配慮が必要になるかもしれません。